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【from Editor】伝えたい豊かさがある(産経新聞)

 「ここはいいところですから」−。今年2月、水戸に赴任して早々、支局が入るビルの喫煙室で地元の人らしき、40代の男性から、こういわれた。生活環境に慣れないうえ、厳しい寒さ続きで「水戸がこんなに寒いとは思いませんでした」と漏らす私を慰めるような口調。何が「いい」のかは聞き忘れたが、茨城特有の尻上がりの抑揚に、どこかホッとした。

 同じころ、出席した高校生のスポーツ大会開会式で、選手入場の行進曲は「あゝ人生に涙あり」。ドラマ「水戸黄門」の主題歌だ。最初こそ、「えっ!?」と、スポーツと黄門さんのギャップにとまどいつつも、丸刈り、短髪の男女選手が、♪ズンチャチャチャ…の旋律に合わせて入場する真剣な姿に引き込まれていった。

 「あゝ人生に…」は3月の茨城空港開港式典でも流れ、当地での重みを感じさせもした。見渡せば水戸市には「黄門さん」関連のもの(像、通り・店・商品名など)も多く、今年で50回を数える夏の一大イベント「黄門まつり」には約100万人が参加する。

 黄門さんこと徳川光圀公が2代藩主を務めた水戸藩は昨年、「開藩400年」で、今年3月には記念祝賀会が行われた。約400人の参加者を迎えたのは、水戸徳川家15代当主、徳川斉正さん。旧水戸藩領にあたる21市町村の首長が世話人に名を連ね、150年前の「桜田門外の変」で敵対した彦根井伊家の18代当主、井伊直岳さんも、お祝いに駆けつけた。

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、歴史ブームだが、水戸を中心に、歴史と伝統が脈々と息づいているよさを感じた。

 加えて、全国第1位の住宅敷地面積(1住宅当たり)、第2位の農業産出額などのほか、魚介も含めて全国有数の食材の充実ぶり、生活のしやすさなど、とにかく茨城県は“豊か”だ。ただ、それゆえ、「保守的でアピールべた」との声もある。

 昨年、民間企業が実施した都道府県の魅力度調査で最下位だった茨城県では、イメージアップのために広報戦略室を設置し、民間企業の広報で活躍した塩原信夫氏を「広報監」として起用した。

 具体的戦略、施策はこれからだが、心構えとして、塩原さんは本紙のインタビューに「『伝えたい気持ち』をしっかり持つことが重要」と話した。地元を理解し、大切に思い、よさを伝える。日本そのものにも通じそうな茨城県の挑戦。その行方を見守りたい。(水戸支局長 三保谷浩輝)

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by 5bwa1lgvhj | 2010-05-06 11:34